40代、50代にさしかかると無視できなくなってくるのが「親の介護」の問題ではないでしょうか。
自分の生活だけで手いっぱいなのに、どうやって親の面倒をみたらいいの? 考えるだけで憂鬱になってしまいますよね。
親の介護はいつ始まるかわかりません。
「子供が親の面倒を見るのは当たり前?」この問いかけに対するわたしの答えは「介護のプロにお任せして、そのときに出来ることをしましょう」です。
つまり、適切な施設に預けたり介護サービスを利用しながら、必要に応じて出来ることをすればいいと思うのです。
5年前に両親の介護に直面し、介護の現場で15年働いてきた一人っ子のわたしが自身の経験をもとに「親の介護」について解説していきます。
- 親が要介護状態になったときの対応
- 施設選びのポイント
- 施設入居のタイミング
- 施設の費用
親の介護を子供がするのは当たり前?
冒頭にも書きましたが、この問いかけに対するわたしの答えは「介護のプロにお任せして、そのときに出来ることをしましょう」です。
真面目で責任感が強い人ほど「親だから」とか「娘だから」と思い込み、一人で抱え込んでしまいがちです。
親の面倒を見るのはあなただけじゃなくてもいいんです。
親に介護が必要になったらどうする?
親の介護はある日突然始まるかもしれません。
いざという時に慌てないように、介護サービスを受けるまでの流れを把握しておきましょう。
- 主治医や地域包括支援センターに相談する
- 要介護認定を受ける
- 介護保険証が届いたら利用するサービスを決める
- ケアプランを作成してもらう
- 介護サービスを受ける
わたしの両親の場合、すでに要介護状態だった母を自宅で父が介護してくれていました。
母は週に3回デイサービスを利用しながら、時々父が疲れたときにはショートステイを利用しながら在宅で過ごしていました。
そんなある日、父が脳出血で倒れました。
手術をしてなんとか一命はとりとめましたが、左半身に麻痺が残り車いす生活になりました。
父は入院先の病院で介護認定を受けて「要介護3」が出ました。
結婚して家を出ている私がある日突然、要介護状態の父と母の面倒を見なくてはいけない状態になったのです。
しかも私は一人っ子のため相談できる人もいなくて、どうしていいかわからずとても不安だったことを覚えています。
介護保険や介護サービスのことなどは父に任せっきりだったので、本当に困りました。
介護が必要になったときにどうすればいいのか流れを知っておくといざという時に役に立ちますよ。
頼れる場所をみつける
一人っ子が親の介護をする際は、病院や介護事業所関係とのやり取りを一手に担わなくてはなりません。
兄弟がいれば役割分担して出来ることも、一人っ子だと全部自分が動かないといけないですよね。
そのため、身体的にも精神的にも負担が大きかったです。
親の介護をしていく上でいちばん大事なのは、一人で抱え込まないことです。
誰かに相談したり、少しでも手伝ってもらったり、いろいろな場面で協力者の手をかりるようにしましょう。
介護保険サービスを利用して身体的・精神的な負担を減らすとともに、いろいろ相談が出来る環境を作っておくといいと思います。
私の場合は、母が以前からお世話になっていたケアマネージャーさんが親身に相談にのってくれてとても助かりました。
また、職場の上司に状況を伝えたところ、仕事を休ませてくれて身体的な負担もだいぶ軽減されました。
出来ることをする
当時の私が考えた出来ることは、「親が安全・安楽に生活できるように介護施設に入ってもらう」ということでした。
親のことはもちろん大切、そして自分の生活も大切です。
介護施設で15年働いてきた私は、介護の大変さがよくわかっています。ましてや親の介護はよほどの忍耐力がないと出来ないと思いました。
家族の形や状況はいろいろあると思いますが、介護される親と子供の両方が身体的・精神的な負担が少なくなるような選択をしたほうがお互いに幸せなのかなと思います。
一人っ子が親を介護施設に入れた理由
- 親が安全・安楽に生活できるように
- 在宅での介護は物理的にも精神的にも困難
- 両親ともに要介護3
上記のような理由で、一人っ子の私の両親は介護施設に入所することになりました。
幸い私の両親は施設に入ることに対して嫌がることはなく、両親の兄弟などの親戚からも反対の意見はありませんでした。
親に介護が必要になったとき、介護施設に入れるタイミングはいつがいいの?
施設に入ってもらうタイミングは以下を参考にしてみてください。
- 介護者の身体的・精神的負担が限界に達する前
- 認知症の諸症状により自宅生活が難しいとき
- 老老介護・認認介護で生活に不安要素が大きいとき
- 病院から「自宅での生活は無理」と告げられたとき
- 「金銭管理ができない」「一人でトイレに行けない」などの症状が出たとき
- 親自身が施設入所を望んでいるとき
親の介護はいつ必要になるかわかりません、いざという時にスムーズに適切な施設を利用できるように元気なうちから話し合いをしておくことをおすすめします。
介護施設もさまざまな種類がありますので、それぞれの家庭の状況や本人の状態に合わせて選び、ホームページやパンフレットなどで詳細を確認しておきましょう。
私の両親は私が働いている「特別養護老人ホーム」に入所しましたが、娘が働いているからいつでも会えるというメリットはありますが、リハビリの設備や理学療法士や作業療法士がいないという点で、脳出血後でまだリハビリが必要だった父はだいぶ不満に感じていたようです。
親を施設に入れるということは、その施設が親の終の棲家になるかもしれないということです。
そのことをしっかり理解したうえで、慎重に施設を探しましょう。
施設選びを適当にするとあとで後悔するから気を付けましょう。
介護施設を選ぶポイントは?
- 一時的な利用か終の棲家として利用するのか
- 看護や介護が必要なのか
- すぐに介護が必要か、将来の安心のためか
- リハビリや自立支援が必要なのか
- 認知症のサポートが必要か
介護施設にはさまざまな種類と特徴があります。
リハビリの有無や看護師が24時間常駐しているか、医師がいるかなど施設によって違いがあります。
そのため施設を選ぶときには、入居する目的を明確にしておきましょう。
私の両親が入所した特別養護老人ホームは終の棲家としての施設のため、看取りまで対応してくれますが、在宅復帰のためのリハビリ目的の施設などはリハビリが終わったら退所しなければなりません。
また、入居費用を無理なく払っていける施設を選ぶことも重要です。
ご両親が長生きすることを想定して考えてみるといいかもしれません。
両親の入所費用はいくらかかってる?
現在の両親の入所費用ですが、2人合わせて¥210,000前後です。
部屋代や介護度などで個人差はあると思いますが、特別養護老人ホームなので毎月の費用は比較的安いほうだと思います。
以前、母がグループホームに入所していたときは毎月18万円かかっていました。
両親の入所費用は、年金だけでは足りないので貯金を切り崩しながら支払っています。
長生きはしてほしいけど、費用が払っていけるのか不安だよ
入所する施設によって費用の差はかなりあると思いますので、事前に詳しく調べることをおすすめします。
介護施設ではどんなふうに生活してるの?
介護施設に入所しても自身のペースで過ごすことは出来ますが、食事や入浴の時間が決まっているので慣れるまで少し窮屈に感じるかもしれません。
筆者の両親が入居している施設でのルーティーンはこのような感じです。
- 【食事】8時12時18時と決まっていて、10時と15時におやつが出る
- 【入浴】週に2回、職員が介助してくれる
- 【排泄】ひとりでトイレに行けない方は職員が介助してくれる
- 【余暇】お昼寝をしたり、レクリエーションに参加したり自由に過ごす
季節ごとの行事もあり、お花見やクリスマス会など普段とは違う雰囲気を楽しむことが出来ます。
私の父は車いすの生活で体は不自由ですが認知症はないので、毎日、経済新聞を読んでiPadを使って株の取引きをして余暇を楽しんでいます。
しかし、トイレや入浴などはひとりでは出来ないため介助をしてもらっています。
母は、寝たきりのため生活のすべてに介助が必要なので、食事介助から口腔ケア・入浴やおむつ交換などをタイムスケジュールに沿って介助してもらっています。
体調に変化があれば、看護師がいるので病院にも連れて行ってもらえます。
まとめ
今回は「子供が親の面倒を見るのは当たり前?一人っ子が親を介護施設に入れた理由」についてお伝えしました。
- 子供が親の面倒をみるうえで大切なことはひとりで抱え込まないこと
- 介護のプロに頼って、必要に応じて出来ることをする
- 介護サービスを受ける手順を知っておく
- 介護施設は家庭や本人の状況を考慮して慎重に探す
- 施設選びのポイントはリハビリや看護・介護が必要なのか、終の棲家として利用したいのかなど入所する目的を明確にしておく
- 施設では介護士さんが生活全般の介助をしてくれて、レクリエーションなども楽しめる
- 介護費用は入所する施設や介護度によって変わってくるが、長生きすることを想定して無理なく払える施設を選ぶ
高齢化が進んだ今、親の介護問題で悩んでいる方は多いと思います。
「介護うつ」といった言葉もあるように、親の介護は身体的にも精神的にも負担が大きいです。
一人っ子であればなおさら大変ですので、決して自分一人で抱え込まず、誰かに相談したり少しでも手伝ってもらったりしながら、出来ることをしていきましょう。
私の経験が悩んでいる方のお役に立てますように。
最後まで読んでいただきありがとうございました。